獣医師関連の学会にはどんなものがある?学会参加の方法とは

Column

2024年5月1日

獣医師の関連する学会には、動物のがん治療に関する研究を行う日本獣医がん学会、獣医循環器学の研究を行う日本獣医循環器学会など、さまざまな分野に関わる学会があります。
今回は、獣医師関連学会と学会への参加方法についてご説明します。

獣医師関連の学会とは

学会や学術集会とは、特定の分野の研究者やその分野の専門家などが研究成果の発表や講演会、パネルディスカッションなどを主催し、学会誌の発行などをする組織や団体のことを指します。獣医師関連の学会とは、獣医師によって構成される獣医学分野の研究発表や講習会などを行う学会のことです。
学会によっては、認定医制度を導入し、その分野における専門性の高い知識と治療技術を有する獣医師を認定医として認定している場合もあります。

主な獣医師関連の学会


獣医師関連の学会には、さまざまなものがありますが、今回は主な獣医師関連学会を5つご紹介します。

・日本獣医学会
日本獣医学会は明治18年に創立された大日本獣医会を起源とした獣医学の学会です。家畜・伴侶動物の健康を守る、ヒトの健康を守る、地球環境を守る、生命工学技術を用いた有用部室の生産、国際協力の5つの分野の基礎・応用・臨床研究を行っています。
年に1回学術集会を開催しているほか、機関誌「The Journal of Veterinary Medical Science」を毎月1回発行しています。

・日本獣医師会内の学会
日本獣医師会の中には、日本産業動物獣医学会、日本小動物獣医学会、日本獣医公衆衛生学会の3つの学会があります。年に1回、3学会が合同で開催する学会年次大会が開かれ、現在では毎回2,000人が参加する大規模な大会に発展しています。大会では200題を超える特別講演や教育講演、シンポジウム、一般研究発表等が行われています。

・日本獣医がん学会
日本獣医がん学会は腫瘍の診断・治療技術の向上、腫瘍臨床例の集積と分析、新しい治療法の臨床治験など、日本の獣医臨床腫瘍学の発展に寄与することを目的として設立された学会です。2020年現在、26,000人を超える会員によって構成されています。毎年1月と7月に学会が開催され、さまざまな症例の報告や臨床研究の発表が行われています。
また、日本獣医がん学会では日本国内での臨床腫瘍学会分野の向上・発展と腫瘍学に関する高度な専門知識と実践能力を備えた臨床獣医師の育成を目的とし、獣医腫瘍科認定医の認証を行っています。獣医腫瘍科認定医には認定医Ⅱ種と認定医Ⅰ種があり、認定医Ⅰ種は認定医Ⅱ主資格を持つ獣医師のみに受験資格が与えられています。認定医を更新するためには、有効期限の4年以内に4回以上の学会出席が条件となっています。

・日本獣医循環器学会
日本獣医循環器学会は、動物の循環器医療を志す若手獣医師や循環器の基礎的研究に携わる若手研究者の教育と育成、日本における獣医循環器額の向上を目的としています。年に2回の学術集会と定期的に実施する認定講習会を活動の中心としています。
日本獣医循環器学会では、高度に専門化した循環器領域の獣医医療を実践できる循環器学専門家の育成を目指し、動物循環器認定医の認定を行っています。動物循環器認定医の認定を受けるためには、2年間に34の認定講習会を履修し、動物循環器認定医制度が実施する資格審査と技術レポート審査に合格する必要があります。日本獣医循環器学会の認定医資格は取得5年後に更新が必要となっています。

・日本獣医皮膚科学会
日本獣医皮膚科学会は、獣医皮膚科学に関する研究と教育、獣医療の促進を図り、その進歩と普及に貢献することを目的としています。学会の開催のほか、セミナー、講習会の開催、日本獣医皮膚科学会認定医の認定を行っています。日本獣医皮膚科学会の認定医となるには皮膚病診療の臨床経験、認定講習会の受講、学会の参加、学会・論文の発表経験があることなどが受験資格となっています。認定医資格の更新は3年ごととなっています。

獣医師関連の学会に参加する方法とは


学会によって入会の手続きは異なりますが、多くの場合、獣医学の研究に関心がある人、獣医学関連の大学または大学院に在籍している学生を会員の対象としています。学会の会則や活動に賛同し、会費を納めることで会員となることができます。
オンラインで入会の申し込みができる学会や郵送などで申し込みができる学会があります。

獣医師関連の学会は豊富にある

今回ご紹介した学会以外にも獣医師関連の学会はたくさんあります。多くの場合、学会の活動や趣旨に賛同し、会費を納めれば入会できるようになっています。学会では、専門的な分野の研究発表が行われていたり、定期的な講習会も開かれていたりするため、最新の獣医学の研究や治療技術についての知識を深めることが可能です。また、専門性の高い知識と技術を持つ獣医師を認定医として認定する制度を用意している学会もあります。関心のある学会が見つかったら、獣医師としてのさらなる知識の向上を目指し、入会を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。