製薬会社で働く獣医師の仕事内容と平均年収とは?

Column

2024年6月26日

獣医師が活躍するフィールドの一つに製薬会社があり、製薬会社への転職を検討している獣医師の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、製薬会社で働く獣医師の業務内容や平均年収についてご紹介します。

製薬会社で働く獣医師の仕事内容とは?


獣医師が活躍するフィールドの一つに製薬会社があり、製薬会社への転職を検討している獣医師の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、製薬会社で働く獣医師の業務内容や平均年収についてご紹介します。

新薬の研究・開発
獣医師は、薬理学や病理学などについての知識も持ち合わせていることから、薬効評価や毒性評価、病理学評価などの分野で、創薬研究に関わるケースが多くなります。また、動物の生体や臓器全体を理解している点も獣医師の強みであり、創薬研究分野は獣医師が活躍しやすい部門です。

メディカルサイエンスリエゾン
メディカルサイエンスリエゾンとは、MSLとも呼ばれる職種です。欧米では50年以上も前から製薬会社内で確立されていた職種ですが、日本での歴史は浅く、2010年頃から外資系企業を中心に採用され始めました。
メディカルサイエンスリエゾンの仕事は、学会での発表や論文の検索などをもとに収集した最新の治療法や治療に必要な薬品などについて、KOL(キーオピニオンリーダー)と呼ばれる医師や研究者と医学的な見地に基づいた情報の交換をし、自社製品の適正な使用や理解を促進する仕事です。営業職であるMRとは異なり、販売促進を目的とした業務ではなく、医学的な面からの客観的な活動を行います。
獣医師は、薬理学や病理学についての知識も豊富であることから、メディカルサイエンスリエゾンとしてのニーズも高まっています。

実験動物の飼育・管理
新薬を生み出す際には、動物による実験が行われるケースが多くあります。獣医師の方の中には、動物実験に反対する方もいらっしゃるでしょう。しかし、動物医療でも人用の薬品を使用する場面は少なくありません。新たな薬品の開発は、人間の命を救うだけでなく、動物の命を助けることにもつながる面もあります。
製薬会社での実験動物の適正な飼育や管理に関わる業務は、獣医師の資格と知識が求められる業務です。昨今では動物福祉についての重要性が高まり、実験動物の飼育や管理面において、国際基準に対応した獣医学的ケアが求められるようになっています。動物が不要な苦痛を感じないような麻酔薬や鎮痛薬の使用などの判断ができる獣医師は、製薬会社で欠かせない人材となっているのです。

製薬会社で働く獣医師の年収はどれくらい?

製薬会社に勤務する獣医師の年収は、企業規模や担当している業務の内容、勤続年数、就いている役職などによって変わってきます。また、外資系の製薬会社であるか国内の製薬会社であるかによっても年収が変わります。そのため、製薬会社に入った獣医師の年収を一概にお伝えすることはできません。しかしながら、製薬会社は他業種と比べて平均年収が高い業界でもあり、一般的に製薬会社の平均年収は600万円~800万円程度だといわれています。
加えて、製薬会社は福利厚生面が整っている企業が多いのも特徴です。

獣医師として製薬会社に転職する方法とコツ


製薬会社に獣医師として転職を希望する場合は、次のような手順で転職活動を進めます。また、転職を成功させるコツもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

転職の理由を明確にする
転職の理由は、履歴書や職務経歴書にも記載する必要があり、さらに面接に進んだ場合にも必ず確認される項目です。志望動機が明確でなければ、採用してもすぐに辞めてしまう可能性もあり、経歴や能力に魅力がある場合であっても採用を見送られてしまう可能性もあります。なぜ、獣医師として製薬会社への転職を希望しているのか、自分としっかり向き合いながら転職をする理由や製薬会社を志望する理由を明確にしておきましょう。

転職先に求める条件に優先度をつける
転職時には、仕事の内容や年収、勤務時間、企業規模、立地など、転職先に求める条件があるはずです。しかし、製薬会社に絞った場合、全ての条件を満たす求人に出会える可能性は低くなります。また、転職時に求める条件が明確になっていなければ、転職活動の途中で方向性がぶれてしまう可能性もあります。
転職活動をする際には、希望条件を具体的に書き出したうえで、条件に優先順位をつけ、絶対に譲れない条件とできれば叶えたい条件に分けておくと、理想の転職先を見つけやすくなります。

製薬会社の求人を探す
希望条件が明確になったら、希望に合致した製薬会社の求人を探します。製薬会社のホームページに掲載されている求人情報を探す方法もありますが、さまざまな企業の求人を掲載している転職求人サイトを利用すると、効率よく製薬会社の獣医師求人を探すことができるでしょう。

場合によってはエージェントに相談する
転職エージェントは、転職希望者と人材を募集する企業をマッチングさせる会社です。転職エージェントに相談し、希望条件を伝えると、条件に合致した製薬企業の求人を紹介してもらえる可能性があります。書類の作成方法や面接のアドバイスも受けられるため、転職エージェントの利用を検討してみても良いでしょう。

実際に応募し面接を受ける
希望の求人が見つかったら、応募します。一般的には書類選考を通過した場合に二次選考である面接に進むことになります。面接では、志望動機や転職理由をはっきりと伝えましょう。
無事、採用が決まったら現職の退職手続きと製薬会社での入社手続きをします。



まとめ


製薬会社の獣医師は、新薬の研究開発やメディカルサイエンスリエゾン、実験動物の適正な飼育・管理などの業務に就くケースが多くなります。
製薬会社への転職を希望する際にはまず、なぜ製薬会社への転職を希望するのか、転職の理由を明確にしたうえで、希望条件に優先順位をつけていきましょう。獣医師としての製薬会社への転職を成功させるコツは、転職の目的を明確にすることです。求人サイトや転職エージェントなども活用しながら、希望条件を満たす求人を探すようにしましょう。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。