トリマー業界は人手不足?その原因と対策を解説

Column

2023年10月17日

現在、さまざまな業界で人手不足が叫ばれていますが、トリマー業界も例外ではありません。トリマー業界の人手不足の原因には、トリマー業界ならではの理由が隠れていることをご存じでしょうか。今回はトリマーの人手不足の理由と人出不足を解消する対策についてご説明します。

トリマー業界が人手不足と言われる理由

少子高齢化などにより、日本では人口も減少傾向にあります。そのため、さまざまな業種において人手不足の問題が生じています。しかし、トリマー業界の人手不足は、人口減少や少子高齢化だけの理由だけではなく、トリマー業界ならではの悩みも関係しています。
トリマー業界の人出不足の背景にある3つの理由をご紹介します。

ペット数の増加に追いついていない
一般社団法人ペットフード協会は2022年に「犬猫飼育実態調査」を行いました。その結果、犬の新規飼育頭数は過去10年で最高数を記録していることが分かりました。ステイホームが推奨され、外出を控えなければならなかったコロナ禍は在宅時間が増えたことをきっかけに、ペットの飼育を始める人が増加したのです。
ペットを飼育する人が増えれば、定期的なトリミングやシャンプーが必要となります。しかし、この飼育ペット数の増加にトリマーのなり手が追いついていていません。ペットの飼育数に対してトリマーが少ないことが、トリマーの人手不足の一因となっているのです。

肉体労働のため体力が必要
トリマーは、体力が必要な業種です。大型犬などは体重も重く、シャンプー台まで抱き上げたり、暴れる身体を保定したりするのには、かなりの力が必要になります。ときには嫌がる動物に噛まれたり、ひっかかれたり、ケガをすることもあります。
体力面で厳しい仕事であることも、トリマーの人手不足の要因の一つとなっています。

復職を希望する人が少ない
トリマーは女性が多い職業です。そして、結婚や出産をきっかけに離職するトリマーは少なくありません。現在は、出産をしても育児休暇を経て復職し、働き続ける女性が増えています。しかしながら、トリマーの場合は復職を希望する人が多くはありません。それは、トリマーの仕事は体力が必要な肉体労働であることや休日を子どもと合わせにくいといった点が関係していると考えられます。
育児にも体力が必要であり、体力勝負であるトリマーの仕事と育児の両立は難しいと考える方が多いのではないでしょうか。また、学校は土日休みとなりますが、トリマーは土日も出勤であることが多いため、子どもと休日を合わせにくい点も復職を希望する人が少ない理由の一つでしょう。
結婚や出産を機に退職する人が多い点も、トリマーの人手不足の要因となっています。

トリマー業界の人手不足にどう対策すればよい?

今後、ますます少子高齢化は進み、さまざまな業界において人手不足が進むと考えられています。業界によっては、AIなどのIT技術を活用して人手不足を補おうとしているところもあります。しかしながら、動物のケアやカットをするトリマーの仕事を機械が代行するのは難しく、トリマーの仕事はトリマーにしかできない仕事であると言えます。したがって、トリミングサロンを維持するためにはトリマーを確保しなければなりません。トリマー業界の人手不足を解消するためには、次のような対策が有効になるでしょう。

福利厚生を整える
トリマーとして働いていた人が出産後も復職しやすい環境であれば、トリマーの人手不足を緩和できる可能性があります。休日を取得しやすくしたり、時短勤務でも働きやすくしたり、家事や育児と両立しやすい環境を整えれば、復職もしやすくなるでしょう。また、働きやすい環境の整備は、これから結婚・出産を控えるトリマーにとってもメリットが多く、復職することを前提としたライフプランを立てられるようになるはずです。

業務の効率化を図る
トリマーの仕事は、トリミングだけではありません。トリミングサロンでは、飼い主様から希望のスタイルをヒアリングしたり、予約の電話を受け付けたり、カルテをまとめたり、さまざまな業務が発生します。これらの業務を電子化すれば、トリマーの負担を軽減できるでしょう。
具体的には、連絡先やペットの情報をスマートフォンやパソコンから入力してもらうシステムやWebから予約できるシステムなどの導入です。電子化により、トリマーの事務作業や電話対応の手間の軽減が可能です。
体力が必要となるトリマーの仕事の負担を少しでも軽くするためには、トリミング以外の業務負担を軽減し、業務効率をアップさせることが重要になるでしょう。

SNSを活用する
今は、多くのペットサロンがSNSを活用して情報を発信しています。しかし、ペットサロンが発信している情報のほとんどは、顧客を対象としたサービス内容のお知らせやカットスタイルの紹介です。トリマーに向けた情報を発信しているところはあまりありません。
トリマー同士が楽しく働く様子や動物たちと穏やかに触れ合う姿も紹介すれば、トリマーに対しても働きやすい職場であることをアピールできるはずです。今後は、求人を募集する際の参考ともなるように、トリマーに対するアピールも考えSNSを活用していくとよいでしょう。

まとめ

トリマー業界は、人手不足だと言われています。ペットの飼育頭数はコロナ禍を経て増加する傾向にあるものの、ペットの飼育頭数に合わせてトリマーの人手が増えているわけではありません。また、少子高齢化が進む中、トリマーの人手不足は今後も加速するのではと考えられています。
トリマーの人手不足の背景には、トリマーの仕事が体力勝負であり、休日も不規則であることなどが関係しています。トリマーの人手不足を解消するためには、福利厚生面の整備や業務の効率化などを図り、トリマーが働きやすい環境を整えることが大切であると言えるでしょう。

この記事の監修者

蕪木 新 アニコム パフェ株式会社 転職エージェント

トリマーとして3年従事した後に、大手ペットショップ勤務を経験。
その後、動物病院向けカルテ管理ソフトの営業職に従事。
自身の業界転職経験を活かし、どうぶつ業界に特化した転職サポートを行う。