獣医学部・獣医学科の大学は何年制?(2022年版)

Column

2022年12月19日

犬や猫などの小動物をペットとして飼育する人も多く、動物を病気やケガから救いたいという希望を抱き、獣医師を志す人は少なくありません。しかし、獣医師になりたいと思ってもすぐに獣医師になれるわけではありません。
獣医師になるには大学に通って獣医師に必要な知識を学び、そのうえで国家試験を受験して獣医師免許を取得する必要があります。獣医師は専門的な知識を体系的に学ばなければならないことから、ほかの一般的な大学のように通学期間は4年間ではないことをご存じでしょうか。
今回は、獣医師になるためには何年大学に通う必要があるのか、獣医師関連の学部や学科が設置されている大学はどのくらいあるのかなど、獣医師を目指す方が知っておきたい情報をご紹介します。

獣医学部や獣医学科は6年間通学する必要がある

獣医師になるためには、獣医師国家試験に合格し、獣医師免許を取得しなければなりません。そして、獣医師国家資格を受験するためには獣医学部や獣医学科などがある大学で6年間、獣医学を学ぶ必要があります。つまり、獣医師になるためには6年間、大学に通わなければならないのです。
獣医学部や獣医学科が初めから6年制だったわけではありません。1977年までは、獣医師国家資格試験は、獣医学部や獣医学科で4年間修学すれば受験資格が与えられていました。その後、1978年から1983年までは、4年制の学部を終了した後に2年間の修士課程を修了することで獣医師国家資格が受験できるように変更されました。そして、学校教育法の一部改正が行われた1984年から獣医学部・獣医学科の修学年数は6年に移行されています。

獣医学部や獣医学科に学士編入することはできる?

学士編入とは4年制大学を卒業して学士号を持つ人が、編入学試験を受けて合格した場合に、途中の年次から入学できる制度です。
獣医学部や獣医学科のある大学で、2021年度に学士編入学試験を実施したのは、北里大学のみとなっています。北里大学の学士編入試験に合格した場合は、2年次から就学することができます。
国公立大学の獣医学部や獣医学科で学士編入試験が実施されているところは、現在ありません。かつては国公立大学でも他の私立大学でも、学士編入試験によって若干名ではあるものの獣医学部や獣医学科に編入することができましたが、現在、獣医師を目指す場合に編入できる大学は北里大学1校のみとなっています。

2022年現在、獣医学部・獣医学科がある大学は?

2022年現在、獣医学部や獣医学科が設置されている大学は全国に17校あります。内訳は、国立大学が10校、公立大学が1校、私立大学が6校となっています。

国公立大学の場合、私立大学に比べて学費を低く抑えることができますが、原則として共通テストを受験しなければなりません。共通テストは7科目以上の受験が基本となっており、獣医学部や獣医学科を希望する場合でも理系だけでなく、文系の勉強も必要となります。
一方、私立大学の試験は、数学と理科、外国語を中心とした内容となります 。私立大学は、施設や設備が整っていることが多く、充実した環境で学べるというメリットがありますが、学費は6年間通うことを考えるとかなり高額になります。

また、獣医師を目指す人は多いものの獣医学部や獣医学科を設置している大学は全国に17校しかありません。2022年度の日本の大学数は790大学 であることを考えると、獣医学部・獣医学科のある大学がいかに少ないかがお分かりいただけるでしょう。志望者が多いにもかかわらず、受け入れる大学が少なければ必然的に入試倍率も高くなり、獣医学を学べる大学の偏差値も高くなっています。

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犬や猫などのペットは、家族の一員として見られるようになり、ペットが病気になった時には人が病気になった時と同様に高度な医療サービスの提供が求められるようになってきました。また、ここ数十年で人やものの国際的な移動が活発になったことから、家畜の感染症や人と動物の共通感染症への対応、輸入食品の安全性確保のニーズも高まり、獣医師が活躍できるフィールドは拡大しています。獣医師はこれまで以上に幅広く、専門的な知識を学ぶ必要があり、医学部と同様に6年間、大学で学ぶことが求められています。
獣医師の社会的需要の高まりに応える形で、2018年には岡山理科大学に実に52年ぶりに獣医学部が新設されました。 今後も、幅広い分野で獣医師の活躍は期待されており、ますます獣医師のニーズは高まっていくと考えられています。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。