女性獣医師の割合や年収はどれくらい?人数が増えている背景を推測

Column

2024年2月26日

昨今、女性獣医師が増えています。では、実際に獣医師として働く女性の数や割合はどのくらいになるのでしょうか。
今回は、女性獣医師の割合や年収、女性獣医師が増加している背景についてご説明します。

女性獣医師の割合や年収について

では早速、女性獣医師の割合と年収についてご紹介します。

獣医師の男女比
内閣府男女共同参画局では、次のように女性獣医師の割合を公表しています。表を見ると、女性獣医師の人数は20年の間に約3倍に増加し、割合も18.5%増加していることが分かります。

<獣医師に占める女性の割合>

また、農林水産省では若い世代ほど獣医師として活動している女性が多く、女性獣医師の方が男性獣医師を上回る世代もあるとしています。しかしながら、獣医師としての就業率を見ると30歳~60歳までの期間において、女性獣医師の就業割合は男性獣医師よりも低くなっています。このことから、結婚や出産、育児などを機に離職する女性が多いと推測できます。

獣医師の男女別の給料・年収
厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、男性獣医師の平均給与は約50.2万円であるのに対し、女性の平均給与は約37.4万円です。また、年収で比較すると男性獣医師は約703.5万円、女性獣医師は523.6万円です。
女性獣医師は増加傾向にありますが、給与や年収面では男性獣医師と比べると低いことが分かります。女性獣医師の給料・年収が低い理由には、フルタイムではなく短時間のパートタイムで働く人が多いことも関係していると考えられます。

女性獣医師が増えた背景とは?

女性獣医師が増えた理由を追求した調査はありません。そのため、女性獣医師の増加の正確な理由は把握できませんが、ペットの飼育数が増加し、小動物分野における獣医師のニーズが高まってきたことが女性獣医師の増加に関連していると考えられます。また、馬や牛などの産業動物に比べ、犬や猫などを中心とした小型の動物は女性の力でも問題なく対応できる点も、獣医師を目指す女性が増えた理由の一つでしょう。
さらに、動物病院を訪れる飼い主様は不安な気持ちを抱えて来院されることが多く、そんなときに女性特有の柔らかさやホスピタリティが求められるケースも増えています。現場において女性ならではの感性が求められる点も、女性獣医師の増加に関連していると考えられます。



女性獣医師のプライベートについて

獣医師として働く女性が増えていますが、獣医師は忙しい仕事でもあります。そこで気になるのが女性獣医師のプライベートではないでしょうか。

結婚は苦労する?
獣医師になるためには、6年間大学で獣医学を学ぶ必要があります。そのため、大学を卒業し、獣医師免許を取得できるのは早くても24歳です。さらに大学院に進んだ場合、博士課程を終えるころには28歳となります。そのため、卒業後、獣医師の仕事に就いて経験を積んでいくと、女性獣医師の場合、結婚の時期は遅くなる傾向にあります。

育休や子育ての制度は?
就業先によって勤務する獣医師やスタッフの数が異なるため、育児休暇の取りやすさは変わります。しかし、法律上子どもが1歳を迎えるまでは育児休暇を取得する権利が認められます。また、子どもが3歳を迎えるまでは、フルタイムの勤務時間を原則として6時間に短縮し、時短勤務ができる制度もあります。最近では、女性獣医師が活躍しやすいよう、育児休暇の取得や子育てをサポートする環境を整えている職場も増えています。

復職する際は研修や実習を
育児休暇を取得後に復職する場合や出産などを機に一旦仕事を辞め、再び仕事を開始するときなどは、研修や実習を受けるとよいでしょう。
日本獣医師会では、女性獣医師の活躍を応援する「女性獣医師応援ポータルサイト」を開設しており、サイトには復職にあたって受講できるe-ラーニングやセミナー、研修などの情報を掲載しています。復職や再就職の際には、ぜひ利用してみるとよいでしょう。
また、出産・育児後に再就職をする際には、フルタイムでの勤務だけでなく、パート獣医師として家事や育児と両立しながら働く選択肢もあります。

日本獣医師会「女性獣医師応援ポータルサイト」
https://nichiju-shien.com/

まとめ

女性獣医師の数は、ここ20年で3倍にも増加しています。また、若い世代ほど女性獣医師が占める割合が多く、世代によっては男性獣医師よりも女性獣医師の数の方が多いケースもあります。
女性が獣医師として働くにあたって気になるのが、結婚や出産、育児でしょう。産休・育休を経て復帰している女性獣医師も増えており、パートタイム獣医師として活躍する女性も増えています。また、日本獣医師会も女性獣医師の復職をサポートしており、女性獣医師が働きやすい環境づくりが進められています。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。