獣医師の給料はどのくらい?自分の給料は安い?高い?

Column

2022年10月31日

獣医師は、動物の健康や生命を守る仕事や食の安全を守る仕事など、幅広い業務に従事しており、専門的な知識や技術も必要となるため、獣医師免許は国家資格となっています。獣医師の資格を活かして活躍できる場はさまざまであり、時には、獣医師である自分の給料は他の獣医師と比べて安いのか高いのか、気になることもあるのではないでしょうか。また、獣医師の資格を活かして転職した場合や独立した場合に給料はどう変わるのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、獣医師の平均的な給料などについてご説明します。

獣医師の平均年収は、592.1万円

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」(令和3年)を見ると、獣医師の平均年収は、592.1万円(36.1歳)となっています。ボーナスを考慮しない場合の平均月収は約49万円です。また、初任給は27万円~28万円程度だと言われています。
国税庁の「民間給与実態統計調査」(令和元年)によると、民間企業に務める給与所得者の平均年収は436万円となっています。獣医師の平均年収である592.1万円と一般の他の職種の年収を比べると、獣医師の給料は高額だと言えるでしょう。また、初任給に関しても、一般的な大卒者の初任給は20万円~21万円程度と言われています。初任給の額も獣医師の場合は、一般よりも高いと言えるのではないでしょうか。

研修医(研修獣医師)の給料は安い?

獣医師の資格を取得した後、大学に付属する動物病院や動物医療センターなどで研修獣医師として働く方もいます。研修獣医師とは、獣医師に必要な基本的な知識から応用的な技術までの習得と向上を目指すものです。大学によってコースはさまざまですが、内科を中心としたコースや外科を中心としたコース、麻酔や集中治療科などを中心としたコースなどが用意されています。
研修獣医師の給料は、月額20万円~25万円程度です。ただし、時間外勤務や休日出勤などの有無によって給料は前後する可能性があります。
研修獣医師は大学で得た知識や技術をさらに実践的な臨床研修として身に付けることを目的としているものです。大学の付属施設において実際の症例を交えながら、高度な治療技術を持つ獣医師から指導を受けることができるなど、実際の臨床の現場を学びながら給料を得られるものであるため、一般の大卒者と同水準の金額となっています。

動物病院の勤務獣医師の給料はどのくらい?

動物病院に勤務する、勤務獣医師の平均年収は350~450万円程度だと言われています。
動物病院に勤務する獣医師は、大学卒業後に新卒として就職するケースが多く、年齢が若いことから臨床経験もそれほどないために平均的な給料もそこまで高くはないようです。
しかし、経験を積んでいけば給料は上がっていきます。50代の勤務獣医師の場合の給与は、750万円程度だと言われています。

動物病院の勤務獣医師がステップアップしたいと考える時は

動物病院に勤務する獣医師が、臨床獣医師としてステップアップを考える場合は、次の2つの方法が考えられます。
1つ目は院長となり、独立して動物病院を開業する方法です。自身が院長を務める動物病院であれば、自分が理想とする診療を患者に提供することができるようになります。また、病院が評判を集め、多くの患者が訪れるようになれば、収入をアップさせることもできるでしょう。
2つ目の方法は、より専門性の高い治療を行える動物病院やより良い条件で勤務できる動物病院など、自分の目的に合わせた病院に転職することでしょう。
動物病院の規模はさまざまであり、勤務獣医師が複数所属する動物病院であれば、診療だけでなく、スタッフのマネジメントや病院の運営に関わる業務も任せられ、勤務獣医師であっても理想とする職場を作ることが可能です。

獣医師の資格を活かして、異業種へ転職すると給料は上がる?

獣医師の資格を活かして働ける職場は、多岐にわたります。動物病院の他、家畜の健康を支える業務に携わる獣医師、動物園や水族館で飼育される動物の健康管理を行う獣医師、製薬会社で病気の予防や治療を行うための研究に従事する獣医師などがいます。
動物病院で勤務している獣医師が、異業種へ転職することは不可能ではありません。しかし、同じ獣医師の資格を活かした仕事であっても、製薬会社に勤務していた人が動物病院で働くことが簡単ではないように、小動物を中心に診てきた獣医師が家畜の大型動物を診療したり、製薬会社の実験業務に携わったりすることは決して簡単ではないでしょう。また、獣医師の資格を活かして働く職場であっても、これまでと違った業種への転職では実務経験がないとみなされてしまいます。そのため、異業種に転職して、すぐに給料をアップさせることは難しいと言えるでしょう。

獣医師の給料は、経験によって変わる


獣医師の給料は、他の職種に比べると高い金額となっています。しかし、経験が浅いうちの給料はそれほど高くはありません。
獣医師としてステップアップしたい、より条件の良い職場で働きたいと考える場合は、獣医師の仕事を専門に扱う求人サイトを活用してみてはいかがでしょうか。さまざまな特徴を持つ動物病院や企業が獣医師を募集しています。自分の給料が高いのか安いのか、気になっている方も求人を比較してみると、参考になるかもしれません。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。