公務員獣医師に転職したい!知っておきたい現状や公務員獣医師への転職を成功させるコツを紹介

Column

2023年2月28日

獣医師の中には公務員として働く人もいます。公務員というと、福利厚生が充実し、安定した収入を得られる職業として人気ですが、公務員獣医師の仕事にはどのような魅力があるのでしょうか。
今回は、公務員獣医師の現状や仕事のやりがい、転職を成功させるコツについてご紹介します。

公務員獣医師の現状とは?

公務員獣医師の業務内容と公務員獣医師を取り巻く現状についてご説明します。

公務員獣医師の業務内容とは
公務員獣医師には、国家公務員として働く獣医師と地方公務員として働く獣医師がいます。国家公務員の場合は、厚生労働省または農林水産省で勤務することになります。国家公務員獣医師の主な業務は、食品安全対策や感染症対策、動物検疫、動物医薬品の検査などです。
一方、地方公務員獣医師は家畜保健衛生所や食肉衛生検査所などに勤務することが多く、産業動物の疾病予防や食肉検査などの業務にあたります。

公務員獣医師は不足している
日本では、毎年、1,000人ほどの獣医師が誕生しています。そのうち約4割は動物病院などに就職して小動物の臨床獣医師となり、公務員獣医師となるのは約2割にとどまります。獣医師の数から考えると、公務員獣医師として働く人の数は毎年200人ほどです。しかしながら、令和4年度は北海道庁だけで83人もの獣医師を募集しており、栃木県では13名、兵庫県では10名程度を募集しているなど、多くの自治体が複数名の獣医師を募集しています。
公務員獣医師として働く人が200人程度であるのに対し、先ほどご紹介した3つの自治体だけで募集している獣医師の数は100人を超します。この状況からも、全国的に地方公務員獣医師が不足していることがお分かりいただけるでしょう。

地方公務員の場合、自治体によって年齢要件が異なる
地方自治体の多くは、公務員獣医師の不足に悩まされています。そのため、受験資格の年齢要件の上限を拡大している自治体もあります。公務員の定年は60歳ですが、59歳まで受験資格を拡大しているところもあります。ただし、地方自治体ほど獣医師の不足に悩む傾向が高くなるため、東京都など都市部の場合は受験可能な年齢条件も狭くなっています。
公務員獣医師への転職を検討する際には、希望する自治体が定める年齢要件を確認しておく必要があります。

公務員獣医師のやりがいや魅力とは

公務員獣医師に転職した場合、どのような点に仕事のやりがいや魅力を感じることができるのでしょうか。

・獣医師の幅広い知識や技術を活かせる
公務員の場合、数年ごとに異動があり、配属先によって担当する業務が異なります。そのため、一つの業務だけを担当するのではなく、さまざまな業務に携わる機会が多いため、獣医師の幅広い知識や技術を活かすことができます。

・人が安全に暮らせる環境づくりに貢献できる
公務員獣医師としての仕事の多くは、食の安全や公衆衛生に関わるものです。食肉や食品の検査、食品添加物や残留農薬の検査、動物由来の感染症の予防、家畜の感染症予防など、公務員獣医師の業務は多岐にわたります。いずれも、家畜や人が安全に暮らせるための環境づくりに貢献する仕事です。
食品や人の安全を守る責任のある仕事ですが、同時に大きなやりがいも感じられるでしょう。

・土日休みで残業が少ないケースが多い
公務員の場合は、原則として土日休みの週休2日制となっているケースが多くなっています。ただし、勤務先によっては土日の出勤が発生する場合もあります。
また、配属先によって変わるケースもありますが、公務員の勤務時間は8時30分~17時くらいまでが原則となっており、残業もそれほど多くないことがほとんどです。診療時間の遅い動物病院と比べると、規則的な生活が送りやすい点も公務員獣医師の魅力でしょう。

・福利厚生制度が充実し、子育てとの両立もしやすい
公務員は、産休育休制度をはじめとした福利厚生制度が充実しており、女性獣医師も多く活躍しています。そのため、子育てと両立しながら仕事を続けやすい環境である点も、公務員獣医師の魅力です。

公務員獣医師への転職を成功させるコツ

公務員獣医師に転職したい場合は、公務員試験に合格しなければなりません。公務員獣医師に転職する場合の、公務員試験合格のコツをご説明します。

試験内容を確認して、対策をする
一般的に、公務員獣医師の試験は筆記試験と面接が行われますが、自治体によって受験内容が変わるケースもあります。例えば、福島県では教養試験が廃止され、適性検査と口述試験のみが行われます。また、栃木県では、論文試験と口述試験が行われます。受験したい公務員試験内容を確認し、筆記試験が行われるところであれば筆記試験対策を、論文試験が行われるところであれば小論文の書き方を対策しておきましょう。

志望動機を工夫する
公務員獣医師として転職する場合、住んでいる場所や出身地の自治体であれば、住んでいるところや生まれ育った町で公衆衛生に貢献したいなどといった志望動機が考えられます。しかし、まったくゆかりのない場所の公務員試験を受ける場合には、なぜその自治体の公務員獣医師を目指したのかの動機説明が難しい場合もあります。試験を受ける前には自治体の特徴や自分の強みなどを絡め、面接官を納得させられるだけの志望動機を考えておくようにしましょう。

公務員を目指すなら、地方公務員獣医師への転職も検討してみよう

公務員獣医師は、人々の安全な暮らしを支える重要な業務を担うやりがいのある仕事です。
公務員獣医師は地方になるほど不足している傾向にあります。中には、年齢要件を大幅に拡大したり、筆記試験を廃止したり、より応募しやすい条件に変更している自治体もあります。
公務員獣医師への転職を希望している場合は、住んでいる自治体だけでなく、地方自治体への転職も検討してみるとよいでしょう。