獣医師におすすめの本とは?勉強に役立つ教材もあわせて紹介
Column
2023年6月5日
本を読むと、さまざまな情報を得られます。獣医師に関連する本も多数出版されており、獣医師になりたい中高生が読んでおきたい本や、獣医師試験を受験する大学生、獣医師として活躍している方に役立つ本もあります。
今回は、獣医師を目指す人や獣医師におすすめの本をご紹介します。
獣医師に興味のある中高生におすすめの本
獣医師になってみたい、動物のお医者さんになってみたいと考える中学生や高校生には、獣医師の仕事内容や獣医師になる方法が分かる次の本がおすすめです。
『獣医師になるには』井上こみち著 ぺりかん社
動物ノンフィクション作家によって書かれた読みやすい一冊です。動物病院や水族館で働く獣医師、高度医療に携わる専門医など、幅広い分野で活躍する獣医師と獣医師になるための方法を紹介しています。
『生き物と向き合う仕事』田向健一著 筑摩書房
日々生き物たちと向き合いながら獣医師として働く著者が生き物の体の不思議や病気とは、命とはといった課題を正面から伝える本です。獣医師になった理由も記載されており、獣医師を目指す人の参考になる一冊でしょう。
『動物のお医者さん』佐々木倫子著 白泉社
獣医学部を舞台に獣医師を目指す学生の日常を描いた漫画です。獣医学部3年から6年、大学院博士課程2年目までの6年間が描かれており、獣医学部の様子や獣医師になるための過程が分かるようになるでしょう。
『なるにはBOOKS 大学学部調べ 獣医学部-中高生のための学部選びガイド』著:斉藤智 ぺりかん社
獣医学部で学ぶことや獣医学部ならではのキャンパスライフ、獣医師国家資格の取得方法や卒業後の進路などについて詳しく書かれています。また、獣医学部を目指す人が準備しておくとよいことなども書かれており、参考になるでしょう。
獣医師試験を勉強中の大学生におすすめの教材
獣医師試験の合格を目指し、勉強をしている大学生におすすめの教材をご紹介します。いずれも、獣医師試験合格後にも役立つ知識を身に付けられるものです。
『獣医内科学』日本獣医内科学アカデミー編 文永堂出版
伴侶動物と産業動物のさまざまな疾患から感染症、薬物と用量など、臨床の現場でも活用できる内容が掲載されています。また、理解しやすいように図表が多用されている一冊です。
『獣医生理学』ジェームズ・G・カニンガム著 文永堂出版
疾患のメカニズムを理解するためには、生体の機能を知る必要があります。豊富なイラストを用いて動物機能の成り立ちが分かりやすく解説されています。
『カラーアトラス獣医解剖学』監訳:カラーアトラス獣医解剖学編集委員会 緑書房
獣医解剖学書の世界的スタンダードといわれる書籍です。獣医療現場で必要とされる臨床解剖学や画像診断機器の活用に必要な解剖学的知見が身に付けられます。
『獣医薬理学』日本比較薬理学・毒性学会編 近代出版
薬理作用や薬の体内動態、有害作用やさまざまな部位に作用する薬や消毒薬、駆虫薬、殺虫薬などが学べる一冊となっています。
獣医師として働いている人におすすめの本
獣医師として活躍している方でも、動物の行動学や臨床病理学などについて学び続ける必要があるでしょう。また、認定医試験に向けた勉強をしたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。現役の獣医師におすすめの本をご紹介します。
『一般診療に取り入れたい犬と猫の行動学』入交眞巳 / 内田恵子 / 尾形庭子 /小澤真希子/奥田順之/菊池亜都子/久世明香/ 近藤悦子 / 佐藤昭司 / 白井春佳 / 藤井仁美 / 水越美奈 / 南 佳子 / 村田香織 / 和田美帆著 ファームプレス
一般診療時に取り入れられる行動学を紹介し、日本の犬や猫が問題行動を発生する状況と、その場合に臨床医師はどのような対応が必要になるのかについて分かりやすく書かれています。また、犬の症例と猫の症例に分け、さまざまな問題行動の症例が掲載されているため、臨床の場面でも役立つ情報を得られるでしょう。
『伴侶動物の臨床病理学』石田卓夫著 緑書房
臨床現場における診断・検査テクニックの向上を目指す獣医師に向けた、実践的な小動物の臨床病理学解説書です。問題指向性医学情報記録システム(POMR)による症例へのアプローチ法やCBC・血液化学検査の方法、判断に迷うことが多い内分泌疾患における診断法などについて詳しく解説された一冊です。
『獣医精神薬理学』 Crowell-Davis SL著 ファームプレス
動物の精神病や行動異常の病態生理の学説を整理・解説し、治療法と薬物使用法について説明しています。薬の作用機序や臨床使用法についても個別に説明されており、多くの症例報告も引用されているため、臨床現場で実際に活用しやすい情報となっています。また、飼い主への対応法についてのアドバイスが記載されている点も特徴です。
『「困った行動」がなくなる犬のこころの処方箋』村田香織著 青春出版社
問題行動を専門に研究してきた獣医師が、愛犬の困った行動を減らす方法を伝える著作です。愛犬の困った行動は心の病気にあるかもしれないという観点から、犬の心を理解し、ケアすることで問題行動を解消する方法が具体的に記載されています。
飼い主から愛犬の咬み癖や無駄吠えなどについて相談を受けたときに、役立てられるでしょう。
『猫の困った行動 予防&解決ブック』藤井仁美著 緑書房
獣医行動診療科認定医の著者が、猫の気持ちや行動の特性をふまえ、猫の困った行動の予防策や解決策を解説しています。また、子猫や保護猫、2頭目の猫の迎え方など、猫を迎えるときの飼育環境の整え方などについてのアドバイスも掲載されています。
飼い主から猫の行動や飼育方法について相談を受けた場合にも役立つ知識が満載の本です。
まとめ
獣医師を目指したい方や獣医師として仕事をしている方におすすめしたい本をご紹介しました。本からは、幅広い知識や情報を得ることができます。獣医師の国家資格を目指すための勉強はもちろん、獣医師の資格を得てからもより納得できる診療を行うためには、学び続けることが大切です。
勉強や仕事が忙しい中、本を読む時間を確保するのは難しいかもしれません。しかし、本には知識を身に付けるだけでなく、脳をリラックスさせる効果もあります。勉強に役立つ教材はもちろん、臨床の現場で役に立つ本なども交えながら上手に時間を使って本を読むようにしましょう。
この記事の監修者
大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。