愛玩動物看護師に将来性はある?現状や需要から推測

Column

2023年11月22日

愛玩動物看護師が国家資格となったことで、将来性に期待をしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、愛玩動物看護師の将来性を現在の状況や今後の需要から推測します。

愛玩動物看護師の現状

まずは、愛玩動物看護師を取り巻く状況から、将来性について考えてみましょう。

ペットブームの影響で欠かせない職業のひとつに
日本では、ペットブームが長く続いています。ペットとして飼われている動物は、飼い主様にとっては家族同然の存在となります。そのため、動物の病気やケガの治療を行い、予防接種などで健康管理を担う動物病院は、なくてはならない施設となりました。そして、動物医療に携わる愛玩動物看護師も、動物看護のスペシャリストとして現代社会では必要不可欠な職業になっているといえます。

2022年5月1日に国家資格化
2022年5月1日に愛玩動物看護師法が施行され、愛玩動物看護師は国家資格となりました。国家資格化に伴い、愛玩動物看護師の業務の幅は広がっています。これまでは獣医師のみに許可されていた診療行為のうち、採血や投薬など、一部の診療行為を愛玩動物看護師が担えるようになったのです。

2023年6月1日時点での登録者は約15,000人
第1回愛玩動物看護師国家試験は、令和5年2月に行われました。この国家試験により、愛玩動物看護師の国家資格保有者が誕生し、登録者の数は同年6月1日時点で約15,800人となっています。

愛玩動物看護師の需要と必要性

愛玩動物看護師が国家資格となったことに伴い、愛玩動物看護師が担う業務範囲が広がり、動物病院における愛玩動物看護師の必要性は高まりました。しかし、愛玩動物看護師は、動物病院での求人ニーズだけでなく、社会全体からのニーズも高まっていくと考えられるでしょう。

獣医師や愛玩動物看護師の需要は高まっている
前述したように、日本は今ペットブームが続いていますが、その反面、飼育されているペットの数に比べて、獣医師の人数は不足している傾向にあるとされています。
しかし、愛玩動物看護師が一部の診療行為を担えるようになった今、獣医師の業務をサポートできる職種として愛玩動物看護師のニーズは高まっていくと考えられるのです。

飼い主様にとっても愛玩動物看護師は欠かせない存在
獣医師は、動物の診療を行います。一方、愛玩動物看護師は、愛玩動物の看護の専門家であり、愛玩動物看護師には病気を「診る」獣医師とはまた違う、動物全体を「看る」役割があります。
「看」という漢字は、手をかざして遠くを見る仕草を表すところからできたという説や、手で見るという意味があると言われています。そこから、看るは、見守るという意味や心の中まで見るような意味合いで使用されることが多くなっています。つまり、愛玩動物看護師は言葉を話せない動物をよく看ることで動物の体調や置かれた環境を判断し、看護をする役割があるのです。
また、動物病院でも愛玩動物看護師は、飼い主様から動物の状況をヒアリングする機会が多く、飼い主様にとって近い存在となります。愛玩動物看護師は、獣医師と動物、飼い主様をつなぐ役割としても欠かせない存在となっているのです。

愛玩動物看護師は将来性があると言える理由

愛玩動物看護師は、将来性がある職業です。なぜ、愛玩動物看護師に将来性があるのか、その理由をご説明します。

国家資格化に伴い活躍の場が広がる
愛玩動物看護師が国家資格になる前は、動物の診療行為は獣医師のみに許される行為でした。そのため、動物看護師として働く人は獣医師のサポートはするものの、自ら診療行為を行うことができませんでした。
しかし、愛玩動物看護師の国家資格化に伴い、マイクロチップの挿入やカテーテルの挿入による採尿、採血、投薬など、一部の診療行為を獣医師の指示のもとで行えるようになりました。業務の幅が広がったことで、動物医療の現場でも愛玩動物看護師の存在意義は高まり、今後も需要は続くと考えられます。また、診療行為に携われるようになったことで、愛玩動物看護師として働く人もやりがいを持って、意欲的に業務に就けるようになるでしょう。

ペットブームによりニーズが多様化している
ペットブームにより、さまざまな動物が飼育されるようになっていることに加え、ペットの高齢化などにより、動物医療に対するニーズも多様化しています。また、動物医療も高度化し、専門性の高い治療を提供できる動物病院も増えてきました。そのため、かかりつけの動物病院として役割を持つ施設や、かかりつけ動物病院では対処できない重篤な症状の動物を治療する専門施設など、動物病院も多様化しています。動物医療のニーズの変化に伴い、愛玩動物看護師が活躍できる場も広がると考えられるのです。

まとめ

愛玩動物看護師は、国家資格化され、担える業務の幅も大きく広がりました。獣医師の指示のもとでの診療行為が許可されているのは、愛玩動物看護師だけです。また、長く続くペットブームの中、動物の病気や怪我の治療を行う動物医療のニーズは高まっています。動物看護のスペシャリストとして愛玩動物看護師に寄せられる期待は大きく、今後もその需要は続くと考えられます。したがって、愛玩動物看護師は将来性のある職業だと言えるでしょう。