動物園獣医師の仕事内容とは?平均年収やなり方を解説

Column

2023年6月7日

動物園獣医師は人気の高い職業ですが、 具体的にどのような仕事をするのでしょうか。今回は、動物園獣医師の仕事内容と平均年収、動物園獣医師になる方法についてご説明します。

動物園獣医師の仕事内容とは?

動物園の獣医師は、具体的にどのような仕事を担当するのでしょうか。働く動物園によって獣医師の担当する仕事の範囲は異なりますが、主に獣医師が担当する業務内容は以下の通りです。

動物の診察・治療
体調を崩したり、ケガをしたりしている動物の診察や治療を行います。動物園の中を巡回して動物の様子を確認し、様子がおかしい動物が見つかれば、診察をします。飼育員の方から相談され、動物を診察する場合もあります。
大きな動物の場合は、診療する場所まで連れてくるのが難しいため、動物舎に獣医師が行って治療をすることも少なくありません。

病気の予防
病気やケガの治療と並び、獣医師の大切な仕事が動物の病気の予防です。動物園の動物はペットと違い、野生動物としての気質を多分に残しているため、体調が悪い場合でもあまり体の不調を見せず、普段通りの生活をするケースが少なくありません。また、大型の動物や獰猛な動物の治療は、獣医師にもリスクが伴うため、動物園では動物たちが病気やケガをしないように予防をすることが重要になります。
具体的には健康診断やワクチンの接種、皮膚のケア、サプリメントの投与などを行います。

繁殖・飼育
動物園には、絶滅の恐れのある動物を飼育し、繁殖させる種の保存の役割があります。動物が快適に過ごせる環境を作り出すため、飼育員と相談しながら飼育環境やエサを見直したり、繁殖のサポートをすることも獣医師の仕事となります。

イベント活動・教育活動など
動物園を訪れる客や小学生などに、動物についての話をしたり、自然を守ることの大切さを伝えたりといったイベント活動、教育活動の実施も獣医師の大切な仕事です。動物園のイベントで動物や獣医師の仕事に興味を持ち、将来、獣医師を目指す子供も出てくるかもしれません。

動物園獣医師の平均年収

動物園で働く獣医師の平均年収は400万円~450万円程度だといわれています。動物園獣医師は、多種多様な動物の健康を守るやりがいの多い仕事です。しかし、小動物病院の獣医師の平均年収に比較すると、年収は決して高くはありません。
勤務先ごとの獣医師の年収についてはこちらをご覧ください。

獣医師の収入・年収・給料はいくら?雇用形態で収入はどのくらい変わる?

動物園獣医師になる方法

では、動物園の獣医師になるにはどのようにすればよいのでしょうか。動物園獣医師になる方法をご紹介します。

獣医系大学に進学する
獣医師になるためには、獣医学部や獣医学科のある大学に進学し、6年間、獣医学等必要な知識について学ぶ必要があります。

動物園の採用試験を受ける
動物園の獣医師求人を探し、採用試験を受けます。採用試験に合格しても、獣医師免許を取得できなければ獣医師としては勤務できません。

獣医師免許を取得する
獣医師は国家資格です。獣医師国家試験に合格し、獣医師免許を取得すると、動物園獣医師として働けるようになります。

動物園の種類とそれぞれの就職方法

動物園は運営体制の違いによって、自治体が管理する公立の動物園、自治体が運営するものの管理は外部に委託している動物園、民間が運営する動物園の3つに分けられます。そのため、動物園の種類によって就職方法も変わってきます。

自治体が管理する公立動物園
公立動物園の中でも、自治体が管理している動物園での就業を希望する場合は、自治体に就職する必要があります。つまり、公務員試験を受けなければならないのです。
また自治体は、獣医師という職種で職員を募集しますが、公務員獣医師が活躍できる場は動物園だけとは限りません。そのため、動物園の獣医師を目指して公務員になった場合でも、必ずしも動物園に配属になるわけではないということを覚えておく必要があります。

外部団体が管理する公立動物園
最近増えているのが、公立動物園でも管理を外部団体に委託しているケースです。例えば、東京都にある都立動物園「恩賜上野動物公園」と「多摩動物公園」は、公益財団法人東京動物園協会が管理を行っています。
外部団体が管理する公立動物園で獣医師として働くには、管理する団体の募集に応募する必要があります。ただし、募集は非常に少なく、就職できる可能性は決して高くはありません。

民間動物園
民間企業が運営する動物園で働く場合は、運営企業の募集に応募して、会社員の獣医師として就職をすることになります。民間動物園は、公立動物園に比べると規模が小さいことが多いため、獣医師の募集も決して多くはありません。また、実際に働いている獣医師の数も少ないため、新卒者を募集しても教育ができる体制が整っていないケースも多く、経験者を優先して採用する傾向にあります。

まとめ

動物園獣医師は、さまざまな動物の診察や治療、飼育、繁殖などに携わる仕事をします。動物園獣医師を目指す場合には、まずは獣医系大学に入学して獣医師免許を取得する必要があります。
動物園獣医師は大型の動物や獰猛な動物も扱うため、大変な仕事ではありますが、人気の高い仕事です。しかしながら、動物園獣医師の募集は非常に少ないため、動物園獣医師への道は決して簡単ではありません。経験者が優遇される傾向にもあるため、動物園への就職が難しい場合は動物病院などで臨床の経験を積み、動物園獣医師の募集のタイミングを待ってもよいかもしれません。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。