獣医師になるには?必要な資格や道のりを解説

Column

2023年10月3日

動物が好きな方の中には、動物の命を守る獣医師になりたいと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、獣医師になるには獣医師の国家資格を取得しなければならず、資格取得のためには大学で獣医学を学ぶ必要があります。
今回は、獣医師を目指す方のために獣医師になる方法や必要な資格についてご説明します。

獣医師になるまでの基本的な流れや必要な資格

では、早速、獣医師になるまでの流れと必要な資格について解説していきましょう。

高校は普通科で問題ない
獣医師になるためには、大学に入学しなければなりません。そして、獣医学を学ぶ大学の入試は理系科目が中心となります。そのため、高校を選ぶ際には、普通科の高校で、さらに理系に強い学校を選ぶとよいでしょう。

獣医師養成課程のある大学に進学する
獣医師の資格を取得できるのは獣医師養成課程のある大学です。現在、獣医学部・獣医学科を設置している大学は次の通りです。

国立大学

大学名 学部名
北海道大学 獣医学部 共同獣医学課程
帯広畜産大学 畜産学部 共同獣医学課程
岩手大学 農学部 共同獣医学科
東京大学 農学部 獣医学課程
東京農工大学 農学部 共同獣医学科
岐阜大学 応用生物科学部 共同獣医学科
鳥取大学 農学部 共同獣医学科
山口大学 共同獣医学部
宮崎大学 農学部 獣医学科
鹿児島大学 共同獣医学部 獣医学科

公立大学

大学名 学部名
大阪公立大学 獣医学部 獣医師学科

私立大学

大学名 学部名
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類
北里大学 獣医学部 獣医学科
日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科
日本大学 生物資源科学部 獣医学科
麻布大学 獣医学部 獣医学科
岡山理科大学 獣医学部 獣医学科

国家試験に合格して免許を取得する
獣医学課程を修了し、国家試験に合格すると獣医師免許が取得できます。獣医師の国家試験の合格率や難易度については、こちらの記事で詳しくご説明しています。
【関連記事】獣医師の国家資格合格は難しい?難易度やスケジュールを紹介

高卒や社会人でも獣医師になれる?

獣医師国家試験は、大学で獣医学の正規課程を修めなければ、原則として受験できません。したがって、最終学歴が高卒である場合は国家試験を受験できないため、獣医師になることもできません。また、社会人の場合は、獣医学を学べる大学に入学または編入し、国家試験に合格すれば獣医師になることができます。しかしながら、現状では夜間学部を設置している獣医学関連の大学はなく、仕事を続けながら大学に通うことは不可能です。そのため、社会人から獣医師を目指すのであれば、大学6年間の学費と生活費を準備する必要があり、道のりは決して簡単であるとは言えないでしょう。



公務員獣医師には年齢制限がある
国家公務員の受験資格は30歳までです。また、地方公務員の場合も自治体によって異なりますが年齢制限を定めている場合があります。そのため、社会人から大学に入り直し、国家公務員として働きたい方や特定の自治体の公務員獣医師として働きたい方は、年齢要件を事前に確認しておきましょう。ただし、地方自治体の場合は、獣医師不足から年齢制限を大きく緩和しているケースもあります。

獣医師に必要な資格についてよくある質問

Q.必要な能力や専門知識はありますか?
A.獣医師に求められる能力は、まず、動物が好きという気持ちです。獣医師の仕事はやりがいも大きいものの大変なことも多く、動物への大きな関心がなければ、続けられない仕事です。また、言葉を話すことができない動物のちょっとした仕草や変化を見逃さない洞察力、新しい医療技術を積極的に学ぶ姿勢も獣医師には求められます。
獣医師は、幅広い知識が必要です。具体的には、獣医解剖学、獣医病理学、動物薬理学などの獣医学関連の知識、公衆衛生、環境衛生、食品衛生、人獣共通感染症などの知識です。獣医関連学部では、獣医師に必要な知識を学ぶカリキュラムが組まれています。

Q.最短何年でなれますか?
A.獣医学関連の学部は6年制です。そのため、大学に入学してから国家試験に合格し、晴れて獣医師になるまでは最短でも6年かかります。それだけ獣医師の資格は専門的な知識や幅広い知識が必要になる分野なのです。

Q.獣医師と医師で合格率に違いはありますか?
A.獣医師も医師も国家試験を合格しなければ免許を取得できない職種です。2022年度の獣医師の国家試験合格率は69.9%でしたが、ここ数年の平均的な合格率は80%程度です。一方、医師の国家試験合格率は22年度が91.6%であり、ここ数年の合格率は90%前後で推移しています。

まとめ

獣医師になるには、獣医関連学部のある大学に進学し、6年間、獣医学を学んだ後に国家試験を受験して合格する必要があります。したがって、獣医師の資格を取得するためには大学入学から最短でも6年の時間が必要になるのです。
獣医師には、動物の体や病気に対する知識のほか、感染症や衛生学に関する知識など、幅広い知識が求められます。そのため、学びに費やす期間も長くはなります。しかし、大学で学ぶ知識は、国家試験に合格するためにもその後の獣医師として働くためにも、必要不可欠な知識なのです。
獣医師になるには道のりは簡単ではありませんが、まずは獣医学を学べる大学への進学を目指しましょう。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。